『グレートウォール』コレジャナイ感満載の歴史ファンタジー【海外の反応】

『グレートウォール』は中国とアメリカの合作による「歴史ファンタジー」映画です。一応、宋の時代、日本で言うと平安時代中期から鎌倉時代中期あたり、ヨーロッパで言うとロビン・フッドが活躍していた頃の中国が舞台ということになっています。万里の長城でヨーロピアン・スタイルの甲冑に身を包んだジェイソン・ボーン、いやマット・デイモンが闘うという、コレジャナイ感満載の『グレートウォール』。日本公開を4月14日に控えたこの映画のあらすじ、批評家レビューの結果、全米公開後初めて迎えた週末の興行収入、そして観客の反応をチェックしてみたいと思います。(参照: 日本版公式サイト)

あらすじ

秦の時代、ヨーロッパから黒色火薬を探し求めて万里の長城にたどり着いた傭兵たちは、長城をモンスターの大群から守るための戦いに加わる。

みどころ

国際的スーパー・スターのマット・デイモンが主演し、息を飲むほど美しい映像のスタイリストの一人として知られるチャン・イーモウ(『ヒーロー』『ラバーズ』)が監督したレジェンダリーピクチャーズの『グルートウォール』は、世界で最も象徴的な建造物を舞台に、エリート戦士達による人類を救うための勇敢な抵抗の物語を描く。

イーモウにとって初めての英語作品は、全編が中国国内で撮影された作品としては最も大規模なものとなった。『グルートウォール』には、ジン・ティエン、ペドロ・パスカル、ウィレム・デフォー、そしてアンディ・ラウも出演している。(翻訳引用:英語版公式サイト

批評家によるレビューの結果

アメリカの映画・テレビドラマ情報サイトRotten Tomatoesの2017年2月21日現在のレビュー総数は151件で、スコア平均は10点満点で4.8となっています。また、平均スコアを上回る評価をした批評家の割合で示した支持率は35%となっています。

同週の興行収入ランキング・トップ10の中では下から4番目の評価です。(1番低いスコアはヤングアダルト向けセクシー・ラブロマンス『Fifty Shades Darker』の9%)「中国が舞台の歴史SFモンスター映画」という批評家受けしそうもない設定では、映画会社、特にアメリカサイドは最初から苦戦を覚悟していたと思います。

アメリカと中国という地図の上の2つの主要国が、ボックスオフィスの金脈を狙った合作映画は、3Dのコンピューター視覚効果と時代錯誤の思考方法でぐちゃぐちゃになった1億5,000万ドルの混乱だ。 1.5点/5点満点 (翻訳引用:ローリングストーン

『グレートウォール』は視覚的に優れている…ただこの作品は膨らませすぎだし、視覚効果に頼りすぎだし、最高に愚かしいほど耳障りで、どこをとっても『ロード・オブ・ザ・リング』にひどく影響された、鉛のように重々しい作品だ。(翻訳引用:プレイボーイオンライン

純粋なスペクタクル作品。『グレートウォール』はまったく素晴らしい。(翻訳引用:ビレッジボイス

いくつかの批評に目を通しましたが、視覚効果について触れた記事が多く、それを肯定的に捉えるか否定的に捉えるかで作品の評価がわかれているようです。なお『ロード・オブ・ザ・リング』との視覚的な類似性を指摘する意見がちらほら見られました。記事の上部でリンクした宣伝用のトレーラーを見る限り、確かに雰囲気が似ています。

また予想通り「ホワイト・ウォッシング」に触れている記事がありました。「なんで白人が主人公なんだ?」というわけですが、これはもう興行的に仕方ないと思います。仮にマット・デイモンのかわりにアンディ・ラウが主役だったとしたら、残念ながらワールドワイドでの観客動員数は下がってしまうでしょう。これは人種差別ではなく、単にビジネス上の選択だと思います。

ハリウッドのアジア系俳優差別!?「ホワイト・ウォッシング」の過去と現在
白人が有色人種を演じる、ハリウッドのゆわゆる「ホワイトウオッシング」。映画「ゴースト・イン・ザ・シェル(攻殻機動隊)」で日本人役をスカーレット・ヨハンソンが演じることになったことから再度論争が巻き起こっています。その背景には、一部で指摘されているようなアジア系に対する人種差別意識があるのでしょうか?ホワイト・ウオッシングの歴史を振り返りながら真相に迫ります。

全米公開後初めて迎えた週末の興行収入

製作費1億5,000万ドルを投じた『グレートウォール』ですが、最も収入が見込める公開第一週の興行収入は2,170万ドルに終わりました。既に昨年の12月から公開されている中国の累積興行収入が1億7,100万ドルで、これに中国以外の海外市場の興行収入を加えると2億6,630万ドルということです。製作費の回収は完了したものの、歴史的大作のオープニングとしては、映画会社として満足できない結果と言えるでしょう。(参照:ハリウッド・リポーター)

観客の反応

Rotten Tomatoesの2017年2月21日現在のレビュー総数は約14,000件で、平均スコアは5点満点で3.4点。平均を上回るスコアを付けた観客の割合で示す支持率は55%という結果になっています。

エンターテイメント大作とは言え、万人向けしない設定なので過剰な期待をして劇場を訪れる観客は少なそうです。その意味では、観客の支持率が50%を上回ったという結果は悪くないのではないでしょうか。失望する観客も少なければ、期待を上回る満足感を覚える観客も少なかったという事でしょう。

まとめ

初の中国資本の映画製作会社となったレジェンダリー・ピクチャーズとしては、巨額の製作費を投じた米中合作の大作で幸先の良いスタートを切りたかったはずです。アメリカ国内では爆発的ヒットとは行かなかったものの、海外のセールスで制作費は回収出来たようですし、現場を任されたアメリカサイドとしては最初の試練を無難に乗り切ったことを喜んでいるのではないでしょうか。

なお、レジェンダリー・ピクチャーズは今年になってCEOが辞任し、今のところポストが空席となっています。辞任の理由は不明ですが、中国側が経営に口を出していることはほぼ間違いないようです。(参照:ロイター


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