【トランプ・ウォッチ】ケイティ・ペリーも参戦・加熱するセレブの反トランプ運動

大統領選挙が終了して50日余りが経過した現在もトランプ派と反トランプ派に二分されたままの状態にあると言えるアメリカ。両派を隔てる溝は深く、今のところその幅が狭まる様子はありません。

トランプ新政権に対する支持率は40%

最新の世論調査によるとトランプ次期政権に対するアメリカ国民の支持率は40%で、オバマ政権発足時の84%に遠く及ばないばかりか、最近の政権移行では最も低い数字になったようです。ちなみに、ビル・クリントン政権発足時が67%、ジョージ・W・ブッシュ政権発足時が61%ということですから、トランプ新政権に対する支持率がいかに低いかがよくわかります。

トランプはこの結果をでたらめだと批判しているようですが、反トランプ的なスタンスのCNNが行った調査であることを差し引いても、就任前の支持率が50%以下という結果は、アメリカが依然として二分された状態にあることを示したものと言えそうです。

トランプが明確にした「ツイッターをやめる条件」

「史上最低の大統領選挙」に勝利したトランプ政権が、最も祝福されない形で船出することになった原因の一つは、相変わらず大統領らしさに欠けるトランプの攻撃的なツィートにあると言って良いでしょう。

アメリカ国民のみならず全人類(!)の注目がトランプのツィートに集まるなかで行われたFOX Newsとの単独インタビューで、トランプ本人はツィートについて以下のように答えています。(下の動画ではツイッターに関する質疑応答部分は07分10秒あたりから)

(ツイッターを今後も続けるのか?という質問に答えて)ええ。ツイッターは好きではないのですが、今は不誠実な記者や不誠実なメディアがいるなかでツイッターだけが頼りです。

例えば(トランプ大統領に正統性は無いと公言し就任式の欠席を表明した)ジョン・ルイス議員は大統領就任式に参加しなかったことは今まで一度もないと言っていたが欠席したことはある、つまりそれは嘘だとすぐさまツイッターで指摘できるわけです。

私にはツイッター、フェイスブック、インスタグラムを合わせて5000万人のフォロワーがいます。不誠実なメディアが誤ったことを伝えてもツイッターを使ってすぐに訂正できるのです。もし、メディアが誠実なら、今はそうではないが、私は間違いなくツイッターを止めるつもりです。

問題はトランプがニュース・メディアに求める『誠実さ』の定義です。①トランプの発言を正確に伝えるのが誠実さなのか、②トランプに悪意を持たないフェアな報道姿勢が誠実さなのか、あるいは③トランプにとって耳障りな報道を控えることが誠実さなのか、どうもはっきりしません。さすがに③は無いと思いますが、そこはトランプのやることです。全く予測できません。

加熱するセレブの反トランプ活動

同じインタビューでセレブが大統領就任式をボイコットしていることについて感想を求められたトランプは

おかしなことが起きています。いわゆるセレブの中には、こちらがお願いしたこともないのに「私は歌わない」などと言っている人もいるようです。私はセレブを招待したいわけでなく(People)を招待したいのです。

と答えています。つまり「こちらから頼んだわけでもないのに、『自分は就任式に出ない』等と嘘をついている連中がいる」と言うわけです。

それでは、ここからはセレブたちの最新反トランプ活動についてお伝えしましょう。

ケティ・ペリー

katy perry

歌手のケイティ・ペリーはトランプが選挙中に訴えたイスラム教徒の入国禁止、あるいは不法移民の強制送還などの政策に反対する目的で作られた短編映画に出資しました。作品には次のようなタイトルがついています。

憎しみを当たり前にしてはいけない。それは1940年代の日系アメリカ人に起きた事とイスラム系アメリカ人にも起きるかもしれない事を橋渡しするから。

この短編映画では、日系アメリカ人のハル・クロミヤという老女が第二次大戦中の日系人強制収容所で過ごした少女時代について語っています。最後にヒネリがあるのですが、興味のある方は下のビデオをご覧ください。

なお、監督は日系のアヤ・ナカムラ(映画情報サイトIMDBによると1980年生まれで父親は日本人外交官、母親はオーストラリア人教員の映画監督・プロデューザー)とティム・ナカシです。(参照先:Mail Online)

イスラム系アメリカ人と言う言葉は、人種ではなく、信仰する宗教によって人々をグループに分けることを指すもので日系人強制収容所と同列に比較することは難しいと思います。

ただ、俳優のジョージ・タケイを筆頭に日系アメリカ人コミュニティーからもトランプに対する懸念が表明されています。おそらくこれは、過去にトランプが日系人強制収容を肯定的に捉えるかのような発言をしたことが影響していると思われます。

当のケイティ・ペリー本人はと言うと、大統領選挙後に『私たちは決して沈黙しない』『革命の時が来る』『たちあがれ』等と、一見するとかなり物騒なツィートを繰り返しています。(参照:BBC

グリーン・デイ

Green Day
90年代にカレッジチャートを席巻し、2005年にはパンク・ロックのバンドとしては史上初となるグラミー賞『最優秀ロック・アルバム』を受賞、2015年にロックの殿堂入りを果たしたグリーン・デイ。昨年のアメリカン・ミュージック・アワードではステージ上で『Noトランプ、No KKK、Noファシスト』等と雄たけびを上げ、反トランプの急先鋒的存在となりました。

そのグリーン・デイが満を持して発表した新作ミュージック・ビデオがこちらです。

意外にも最盛期を感じさせる良い曲です。トランプが次期大統領に決まった直後から創作活動を開始したのでしょうか。マーチン・ルーサー・キング・デイ(公民権運動を指導したマーチン・ルーサー・キング博士の功績を讃えるための祝日)にタイミングを合わせてリリースしたあたり、かなり気合が入ったアンチ・トランプ作品と言えるでしょう。

まとめ

トランプの大統領就任が決まってから2か月あまりが経過しました。意外と仕事が早い真面目なグリーン・デイに続き、今後も続々とトランプ大統領にインスパイアされた反トランプ作品が続々とリリースされるに違いありません。

不謹慎ながら音楽ファンとしては新曲ラッシュに期待が膨らみますが、アメリカ社会、というよりも国際社会の平和と安定のためには、怒りの応酬が一日も早く終息することを願わずにはいられません。

なお、大統領就任式の模様はスカパーのCNNjで1月21日土曜日0時から7時まで特別番組で中継される予定です。(参照:CNN J