【アカデミー賞】最も物議をかもしたアカデミー賞受賞シーンを振り返る

今回はアカデミー賞史上最も物議をかもした受賞シーンを映像で振り返ってみたいと思います。(動画の引用元:アカデミー賞公式サイト)

アカデミー助演女優賞・アンジェリーナ・ジョリー

(2000年)『17歳のカルテ』で助演女優賞を受賞した当時24歳のアンジェリーナ・ジョリーは、受賞スピーチで兄に対する愛情を熱く語りました。ところが、その後のパーティー会場で目迎された彼女と兄のキス・シーンが、人々の思い描く兄妹愛のイメージとはかけ離れたものだったために、「あらぬ噂」が巻き起こったのです。

当時のアンジェリーナは、最初の夫・俳優のジョニー・リー・ミラーと離婚騒動の渦中にいました。また、父親で俳優のジョン・ヴォイドと壮絶な親子喧嘩を繰り広げていたことも重なり、精神的にかなりつらい時期を過ごしていたようです。そんな時に自分を支えてくれた兄に対する感謝の気持ちが過剰に高まった?、というのが真相だったのかもしれません。

アカデミー主演男優賞・エイドリアン・ブロディ

(2002年)”キス”と言えば、『ピアニスト』で主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディが、プレゼンターのハル・ベリー(前年に主演女優賞受賞)を抱き寄せ、長すぎるキスをしたことが物議をかもしました。ホロコーストをテーマにした作品で受賞したにもかかわらず「ちょっとはしゃぎすぎではないか」という批判の声もあったようです。

ちなみに同年の候補者は、ジャック・ニコルソン、ダニエル・デイ・ルイスなど実力派ぞろいで、エイドリアン・ブロディは本命視されていませんでした。はしゃぎすぎた彼の行動を面白くないと感じた人々が少なくなかったことが、容易に想像できます。

アカデミー助演女優賞・ヴァネッサ・レッドグレイヴ

(1978年)第二次大戦下の反ファシズム闘争を描いた『ジュリア』で助演女優賞を受賞したヴァネッサ・レッドグレイヴは、反体制的な活動家としても知られていました。パレスチナ問題でPLO寄りの姿勢を表明していた彼女が、受賞スピーチで「シオニストのごろつき」という言葉を使った時、観客から容赦ないブーイングが浴びせられたのです。

この表現自体は、反ユダヤ的というよりも、強者による弱者に対する抑圧に抗議する意図が込められたものだったと思われます。そのため「ユダヤ系の影響力が強いハリウッドでよくぞ発言した」として、彼女の勇気を称える声も聞かれたのです。

80歳近い今も現役の彼女は、その後も『カーズ2』『フオックス・キャッチャー』などの話題作に出演し続けています。

アカデミー助演女優賞・マリッサ・トメイ

(1993年)アカデミー賞俳優部門の助演賞と主演賞は、前年の受賞者がプレゼンターを務めることが習わしとなっています。この年、助演女優賞のプレゼンターは、西部劇の悪役として知られ前年に助演男優賞を受賞した当時72歳のジャック・パランスが務めました。

ベテラン女優揃いの候補者の中で(前述のヴァネッサ・レッドグレイヴも『ハワーズ・エンド』でノミネートされていました)「大穴扱い」されていたまだ若いマリッサ・トメイが受賞したことから、ジャック・パランスが受賞者を読み間違えたのではないか?という噂が広まったのです。

授賞式のステージ上には出演者のほかにアシスタントがいて、仮に読み間違えがあったとしても直ぐに訂正されるそうです。したがってジャック・パランスは無罪だったはずなのですが、噂はいまだに消えていません。

それというのも、授賞式当日のジャック・パランスは、突然腕立て伏せを始めたり、ろれつが回らなかったりしたため「酒でも飲んでいるのでは?」と疑われていたからです。マリッサ・トメイは『イン・ザ・ベッドルーム』や『レスラー』でもアカデミー助演女優賞にノミネートされている本格的演技派女優なので本当に気の毒です。

アカデミードキュメンタリー作品賞・マイケル・ムーアー

(2003年)銃規制を訴えるドキュメンタリー映画『ボーリング・フォー・コロンバイン』で長編ドキュメンタリー賞を受賞した監督のマイケル・ムーアーは、受賞スピーチで当時の大統領ジョージ・W・ブッシュ批判を展開。『ドキュメンタリーはノンフィクションだが、大統領はフィクションだ。ジョージ・ブッシュよ、恥を知れ!』という彼の行き過ぎた訴えには、さすがにブーイングが浴びせられました。

今やリベラル派のご意見番に近い存在となったマイケル・ムーアーは、2016年の大統領選挙でトランプ勝利を予測した数少ない知識人の一人で、数々のニュース番組にも出演しています。彼の主張は、彼の作品のように論理的で説得力があるため、保守派からも一目置かれています。

アカデミー主演男優賞・マーロン・ブランド

(1973年)ゴッドファーザーで主演男優賞を受賞したマーロン・ブランドの代わりにステージに上がったのは、ネイティブ・アメリカンの民族衣装姿の女優サチーン・リトルフェザーでした。映画産業におけるネイティブ・インディアンの扱いに抗議するマーロン・ブランドの代わりに会場に来たことを告げた彼女は、007俳優のロジャー・ムーアからオスカー像を受け取ることを拒否したのでした。

マーロン・ブランドには演技力に対する高い評価がある一方で、気難しく扱いにく俳優としての悪評もありました。

話は変わりますが、その彼を『ゴッドファーザー』二部作のみならず、『地獄の黙示録』でも主演に迎え、辛抱に辛抱を重ねつつ、映画史に残る名演技を引き出したフランシス・フォード・コッポラは本当に偉大な映画監督だと思います。

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(1974年)アカデミー賞の「迷場面」として必ずと言っていいほどよく取り上げられるのが、第46回アカデミー賞でプレゼンターの俳優デヴィッド・ニーヴン(『嵐が丘』『80日間世界一周』)が、エリザべス・テイラーを紹介しようとした時に起きたある出来事です。

英国紳士の象徴のようなデヴィッド・ニーヴンは、突然のアクシデントに動揺も見せずに

『皆さん、まあこんなこともあるんですよ。でもまあ、あの男が、おそらく一生のうちで唯一、人を笑わせた瞬間がストリーキングのあんな短い登場シーンだったなんて、なんだか感慨深いじゃないですか』

とコメントし、観客の笑いを誘っています。

当時は「ストリーキング」が世界的なブームで、この事件も、そうした時代の象徴のように扱われています。

ところが、実はこれがデヴィッド・ニーブンのアドリブ・コメントも含め、台本通りの仕組まれたアクシデントだった、という説があります。ストリーキング実行犯のご当人が押し込み強盗殺人の犠牲となり1979年に他界したため、真相は今も闇に包まれたままです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。実はこうしたアクシデントがアカデミー賞で起こることは、二度とないかもしれません。というのも、2004年にアメリカン・フットボールの年間王者決定戦スーパーボールのハーフタイム・ショーで「放送事故」が起きた後、本当の意味でのライブ中継が廃止され、意図的に数秒間画像を遅らせた録画映像が放映されるようになったからです。

アカデミー賞授賞式は、全米だけで毎年約3,000万人以上が視聴しているものの、視聴率は下がり続けているようです。個性派ぞろいのハリウッド・セレブが集まるアカデミー賞授賞式のライブ中継から「何かが起こるかもしれない」というある種の期待感が失われたことが、視聴率低迷につながっているのかもしれません。


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