【トランプ・ウォッチ】大統領就任式・トランプ対ニュースメディア「初日の様子」

いよいよスタートしたトランプ政権。アメリカのニュース・メディアには就任直後の大統領に対する批判を控える、いわゆる『100日ルール』が存在しますが、それがトランプ政権にも適応されるのか大いに疑問です。アメリカのニュースメディアが大統領就任式をどのように伝えたのかを中心に、トランプ政権初日の出来事をまとめてみます。
white house

オバマ大統領就任式との比較

大統領就任式に集まった群衆をナショナル・モールのショットで比較しています。60%以上の支持率を維持したままホワイトハウスを去ったオバマ大統領と、史上最低レベルの支持率40%でホワイトハウス入りするトランプ大統領の対照的なイメージを放送したのはCNNだけではなかったようです。

早くもトランプ暗殺のシュミレーション?が放送される

大統領就任式当日に、大統領暗殺について言及したメディアがありました。陰謀説専門のネット放送局ならともかく、これを放送したのはCNNです。政権移行プロセスを視聴者に分かりやすく伝えようとしたのでしょうが、Youtubeのコメント欄では批判的な意見が多数を占めています。

『マイ・ウェイ』使用拒否の誤報でシナトラ家激怒


大統領就任式後の晩さん会では、新大統領夫妻がダンスを披露するのが伝統となっています。今回はBGMにフランク・シナトラの『マイ・ウェイ』が使われることが事前に発表されたのですが、反トランプ的な立場を公表していたシナトラの娘ナンシー・シナトラは『マイ・ウエイ』の歌詞「And now the end is near(そして今、終わりが近づいている)」を引き合いに出して、トランプをからかうツイートをしました。

これに飛びついたのは、またしてもCNN。「ナンシー・シナトラは、トランプが父親の曲を就任式に使うことに不快感を示した」と報道したのです。これに対して当の本人が「わたしはそんなこと言っていない。どうしてCNNは嘘をつくの?」と完全否定。実際に『マイ・ウェイ』は就任式晩さん会で使われていました。(参照:Fox News)

元CNN名物キャスターも暴動の被害に

就任式が行われたワシントンDCでは、反トランプデモが行われましたがその一部が暴徒化し、商業施設の窓ガラスや駐車中の車が破壊されるなどの被害が発生しました。被害にあった車の中には、元CNNの名物キャスター、ラリー・キングが手配したSUVが含まれていたのです。

the match game

トランプ支持のイケメン極右団体指導者・カメラの前で殴られる


白人至上主義を掲げる極右団体のイケメン指導者リチャード・スペンサーが、祝賀パレードが行われるワシントンDCの街頭でインタビューに応じていたところ、何者かに顔面を殴られるというアクシデントが発生しました。

この団体は大統領選終了後の集会でトランプ勝利を祝っているところを隠し撮りされ、その映像がCNNなどで繰り返し取り上げられています。

演説の評価:キャンペーンモード継続、孤立主義、そして”アメリカ大虐殺”

今回のトランプ大統領の就任演説ですが、アメリカのニュースメディアの大半が否定的に報道しています。目立つ論調としては「国民の統合を訴えるべきなのに未だに大統領選の勝利者としての立場で語っている」「”アメリカ・ファースト”を強調する姿勢はアメリカが孤立主義に陥った第二次大戦前の暗黒時代を思い起こさせる」といったものです。

特にトランプが使った「American Carnage(アメリカ大虐殺)」という言葉がかなり物議を醸しています。MSNBCのレイチェル・マドウは「American Carnage」という言葉は2010年に行われたヘビー・メタルのツアー名(メガデスとスレイヤーがヘッドライナーの北米ツアー)として使われたが、今やそれが大統領就任演説のテーマになっていることの異常性を指摘していました。

終わったばかりの就任式の振り返り映像もそこそこに、アメリカ各地の抗議活動の映像が大々的に報じられ、さらに未だに人気が高いオバマ大統領と抗議活動の対象となっているトランプ新大統領を対照的に取り上げることでトランプ大統領に対するネガティブなイメージがさらに増幅されていきます。

トランプ、バットマンの悪役との類似性を指摘される

トランプ大統領の就任演説の一部と『バットマン・ライジング』の悪役・ベインのセリフが完全に一致していることがネット上で話題になっています。引き合いに出されているのは、悪の集団が都市(ゴッサムシティ)を占拠した後、それを率いる指導者のベインが市民に向かって演説するシーンです。

まとめ

大統領就任式から一夜明けたアメリカの各ニュースメディアは、全米各地で行われている大規模抗議デモの報道一色となっています。本来なら祝賀ムードが継続しているはずの大統領就任式翌日の報道が、人々の怒りや憎しみに満ちた表情であふれているのは、どう考えても異常事態と言えるでしょう。

ニュース・メディアは、自分たちに攻撃的な姿勢を見せるトランプ政権に直ちに反撃するために、当面は今の状況を最大限利用するでしょう。トランプ大統領就任により失われた数々の伝統と同様「100日ルール」もすでに過去のものとなったようです。

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