2017年のスーパー・ボウルは、試合もさることながらレディ・ガガのハーフタイムショーに注目が集まっていました。ニュース・メディアの多くが、有名なクリントン支持者レディ・ガガの反トランプ的な言動を予測していたからです。
大統領選期間中のクリントン支援
昨年の大統領選挙で民主党大統領候補のヒラリー・クリントンを明確に支持してきたレディ・ガガ。クリーブランドでは、ジョン・ボンジョビと一緒にステージに立ちヒラリー支持を訴えました。
なお、この時のレディ・ガガの衣装がマイケル・ジャクソンのステージ衣装に似ているという事で話題になりました。トランプ陣営からはナチスの制服に似ているのでは?との指摘もあったようです。
I love how Trump supporters are claiming that Lady Gaga, who is dressed as Michael Jackson, is dressed as a Nazi when the KKK supports Trump pic.twitter.com/qVFUbHR1nj
— Josue Monster (@EmoJoshy1) 2016年11月8日
大統領選結果の受け止め
大統領選でヒラリーの敗北に直面したレディ・ガガは、全米のいくつかの主要都市で反トランプデモが巻き起こる中、ニューヨークのトランプ・タワーの前でパフォーマンスを行います。レディ・ガガが手にしたプラカードには、ヒラリー・クリントンが選挙キャンペーン中に使っていたスローガンである次のメッセージが書かれていました。
私は愛が憎しみに打ち勝つ、優しさを持った国に住みたい。
❤️🇺🇸I want to live in a #CountryOfKindness where #LoveTrumpsHate pic.twitter.com/Eni145YgW1
— xoxo, Joanne (@ladygaga) 2016年11月9日
トランプ大統領が選挙期間中に打ち出した排外主義的姿勢、あるいは過去の女性蔑視の発言に対する反発が強まり、国を二分した論争が巻き起こる中、レディ・ガガが尊敬を口にし、かつては何かと比較されることが多かったマドンナは、トランプ大統領就任式の翌日に行われた『女性の行進』に参加し、デモ参加者を前に「ホワイトハウスをふっ飛ばしたい」と発言し批判を受けます。
一方、全米の2人に1人がテレビ中継を見ると言われているスーパー・ボウルのハーフタイム・ショーに出演が決まっていたレディ・ガガが、ショーの中で何らかの政治的なメッセージを表明するのでは、という憶測が広まりました。
注目のパフォーマンスは歴代2位の視聴率(1位は?)
そうした注目が集まる中で行われたスーパー・ボールのハーフタイムショー。全13分のパフォーマンスがこちらです。
WOW. Amazing.@ladygaga‘s #PepsiHalftime Show! 👏#SB51 https://t.co/z9vCKRBKkC
— NFL (@NFL) 2017年2月6日
視聴者数は推定1億1750万人。歴代第2位の視聴率をたたき出しました。ちなみに歴代1位ですが、2015年のケイティ・ペリーで1億2070万人が見たとされています。
ショーの評価ですが、レディ・ガガの圧倒的な歌唱力と存在感に対する惜しみない賞賛が大半を占めた一方、歴代ヒット曲を手堅くまとめたセットリストに物足りなさを感じた、とする手厳しい評価もありました。(「モンスターというよりは普通」DEADLINE Hollywood)
気になる政治的コメントは?
さて、予想されたレディ・ガガの政治的なメッセージですが、表立った発言はありませんでした。後日談として発表されたNFLの副社長のコメントによると、NFL側からは大統領選挙結果も含め、ショーの内容は全てレディ・ガガに任せていたようです。(翻訳引用元:billboard)
ただ、歴代の出演者に依頼したのと同様に、家族や友人が集まるイベントらしい人を結びつけるショーにしてほしいと依頼したようです。それに対してレディ・ガガは、
そうね。アメリカを結び付けられるかわからないけど、それができたかどうかは、ショウが終わったらアメリカに聞いてもらわなくちゃね。
でも、ハーフタイムショーで私が表明できる声明は、私がキャリアを通じて常に言ってきたことになると思う。それは一体感への情熱、平等の精神、それから愛と思いやりとやさしさに満ちたこの国の精神になると思う。
だから、私のパフォーマンスにはそれら二つの哲学が宿ることになると思う。
(翻訳引用元:billboard)
また、レディ・ガガ本人は事前に公表されたインタビュー記事で、ハーフタイムショーをファンに捧げるとコメントしています。
自分が求められていないと感じている子供たち、人から受け入れられることの難しさを感じながら成長してきた子供たちにハーフタイムショーを贈ります。
(翻訳引用元:billboard)
一部には、冒頭にレディ・ガガがスタジアムのルーフ・トップで歌った『我が祖国(This Land Is Your Land )』は、本来は貧困層に向けられたメッセージ・ソングで、反トランプ・デモ行進の際に参加者が歌っていた、との指摘があるようです。
この指摘に対するレディ・ガガのコメントは今のところ公表されていませんが、『神よアメリカを祝福したまえ』と同様に第二の国歌として親しまれている『我が祖国』に、反トランプ的な意図が込められていたとする意見には無理があると思います。ここは素直に愛国心の自然な発露と解釈すべきではないでしょうか。
左右両派からの反応
今回のレディ・ガガのパフォーマンスに対する評価は前向きなものが多いようです。何かと話題の保守系ニュースサイト「ブライトバート」とリベラル系ニュースサイト「ハフィントンポスト(英語版)」の掲示板をチェックしてみましたが、大半の意見が、レディ・ガガのパフォーマンスを評価するものでした。
特に「ブライトバート」のコメントには、レディ・ガガが政治的なメッセージを公表しなかったことを高く評価するコメントが目立ちました。
他方、リベラル派の中には、ごく少数派ながら、政治的なコメントが無かったことに対して不満を表明している人たちもいるようです。
(下はアリアナ・グランデのインスタグラムです。彼女もガガを応援していたアーティストの1人です。)
まとめ
大統領選で国が二分され、どことなく重苦しい雰囲気の中で行われた今年のスーパーボウル。試合のほうは歴史に残る名勝負でしたが、レディ・ガガのハーフタイムショーも歴史的なパフォーマンスでした。(試合が前半終了時点でもっと接戦だったとしたら、視聴率も歴代一位になっていたかもしれません。)
ガガ・ファンでない私ですが、彼女の歌の上手さとショーマンシップにはあらためて感動しました。自分の個性と魅せ方を知り尽くしている偉大なアーティスだと思います。
(参照:公式サイト)