【アカデミー賞】母国語が英語ではないアカデミー賞俳優部門の受賞者たち

ハリウッド・スターを夢見て、俳優や俳優志望の老若男女が世界中から集まる映画の都ハリウッド。アカデミー賞こそ、彼らにとって究極の目標と言えるでしょう。今回はアカデミー賞俳優部門受賞者の中から、英語が母国語ではない俳優にスポットをあててみたいと思います。

アリシア・ヴィキャンデル

1988年10月3日スウェーデン・ヨーテボリ生まれ。スウェーデンのテレビドラマ、映画に出演したあとイギリス映画『アンナ・カレーニナ』に出演し国際的な注目を集めました。その後立て続けに数々の作品に出演し、アンドロイド役の演技が高く評価された2015年公開のSF映画『エクス・マキナ』、そして同年公開の『リリーのすべて』でアカデミー助演女優賞を獲得しています。

受賞スピーチの英語はほとんどネイティブ・レベルです。そんなアリシア・ヴィキャンデルも、2014年に公開されたイギリス映画『戦場からのラビレター』で実在のイギリス人従軍看護師ベラ・ブリティンを演じた際のインタビューではこんな風に話しています。

私は外国人なんで、アクセントを直したかったんです。スウェーデン人の女の子が(実在のイギリス人従軍看護師の)ベラ・ブリティン役をやってるの?みたいに思って欲しくなかったので。(引用元 IndieWire

ジャッキー・チェン

1954年4月7日英国領(当時)香港生まれ。もはや説明不要ですが、62歳の今も現役の世界的アクション・スターです。1970年代後半から香港映画界で活躍し1980年代からはハリウッドにも進出。1998年に公開された『ラッシュ・アワー』で大ブレイクしました。2016年にはアメリカの映画産業に対する長年の功績が認められ、アカデミー名誉賞を受賞しています。

アカデミー賞の授賞式のスピーチでトム・ハンクスは、「ジャッキー・チェンは(西部劇の伝説的ヒーロー)ジョン・ウェインと(無声映画時代の肉体派コメディアン)バスター・キートンを合わせたような俳優だ」として賞賛を惜しみませんでした。

彼の英語はかなりめちゃくちゃですが、そんなことは誰も気にしていません。イギリスのトークショー番組で観客を前に30分以上英語で話しているのを見たことがありますが、この笑顔とアクションで観客は大喜びしていました。

ソフィア・ローレン

1934年9月20日イタリア・ローマ生まれ。ソフィア・ローレンと言えば、イタリアはもちろん世界的に有名な伝説的大女優です。1950年代のセックス・シンボルとしてマリリン・モンローと並ぶ人気を誇っていたソフィア・ローレンですが、演技力でも高い評価を得てきたことをつい忘れがちです。1950年代後半からハリウッドに進出し、1957年に出演した『島の女』でブレイク。3年後の1960年に出演した『ふたりの女』でアカデミー主演女優賞を受賞しました。

この時ノミネートされていた中には、『草原の輝き』のナタリー・ウッド、そしてなんと『ティファニーで朝食を』のオードリー・ヘプバーンもいたのです。彼女たちと競い合って主演女優賞を勝ち取ったソフィア・ローレンの演技力がいかに素晴らしかったか分かります。

その後1991年には、長年の功績を称えられアカデミー名誉賞を受賞しています。世界の映画界にとって宝とも言うべき存在です。

ロベルト・ベニーニ

1952年10月27日 イタリア・カスティリオーン・フィオレンティーノ生まれ。1970年代からイタリア国内の舞台、映画で活躍してきた彼の名前を一躍有名にしたのは、自ら監督し1998年度のアカデミー外国語映画賞を受賞した『ライフ・イズ・ビューティフル』でしょう。この作品に主演した彼は、外国語作品でアカデミー主演男優賞を受賞した最初の俳優となりました。

いまでも語り草になっているのは、授賞式でみせたロベルト・ベニーニの「弾けっぷり」です。監督作品で主演男優賞も受賞したのですから無理もありませんが、プレゼンターを務めたのが伝説のイタリア人大女優ソフィア・ローレンだったことで彼の興奮は危険水準に達してしまったようです。

英語がほとんど話せない彼のスピーチを救ったのは、感動した面持ちで聞いているソフィア・ローレンの美しさでしょうか。それにしても、彼の熱のこもったスピーチにたくさんの人たちが夢中になっている様子を見ると、しょせん英語なんて道具なんだなと、あらためて気づかされます。

なおこの時の主演男優賞の本命は、『プライベー・トライアン』のトム・ハンクス、『アメリカン・ヒストリーX』のエドワード・ノートンで、ベニーニの受賞は大番狂わせとなりました。

まとめ

一説によるとハリウッドだけでも2万人を超える俳優がいるそうです。英語を母国語としないにも関わらず厳しい競争に打ち勝ち、ついにはアカデミー賞まで獲得した彼らの功績は偉大としか言いようがありません。

個人的には、アリシア・ヴィキャンデルに注目したいと思います。同郷の伝説的大女優イングリッド・バーグマンを超える日も遠くないかもしれません。


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