トランプ政権暴露本「炎と怒り」アメリカでの評判

著者に対する疑問

度重なるテレビ出演で浮かび上がった著者の人格

保守派だけでなくリベラル派からも複数の事実誤認や信憑性に関する疑問点を指摘されたにもかかわらず、トランプ憎しのリベラル系大手ニュースメディアと、これまたリベラルが圧倒的マジョリティーを形成するショービジネス界の強力な後押しもあり、「炎と怒り」は大ベストセラーとなりました。

発売後、時間の経過とともに高まっていった疑問の声に対して、マイケル・ウルフはテレビ出演を通じて説明を試みますが、それは明らかに逆効果でした。

とりわけ、質問に対してほとんどまともに答えず「読めばわかる」と繰り返すウルフの姿勢にニュース番組のキャスターやトークショーのホストたちの中には、反感を露わにする人物も現れたのです。

筋金入りの反トランプ・セレブまでもが抱き始めた疑問

アメリカの夜のトーク・ショーと言えば、かつては、ジョニー・カーソン、デイビッド・レターマン、そしてジェイ・レノなどといった大物スターがホストを務める、一流のエンターテイメント番組でした。

それが、今やほぼ全てのトークショー番組で、放送時間の大半をトランプ批判に費やすようになってしまいました。

その中の一つ、コメディセントラルで放送中のトークショーにゲスト出演したウルフは、番組のホストで反トランプのトレヴァー・ノウから、「炎と怒り」の内容に関する疑問点を聞かれます。

その疑問点こそが、後に大きな問題となる「ホワイトハウス内にいるらしいトランプの不倫相手」に関するものだったのですが、ウルフは「本に書いてある」などと繰り返すだけで、再三にわたりノウを煙に巻こうとします。

ノウも「それが、どこにも書いてないんだ」と食い下がりましたが、ウルフには全く通用しませんでした。

今、ウルフはこの時の姿勢を貫いておけば良かったと後悔しているに違いありません。

敵の敵は味方だったはずが…

こうして、反トランプ主義のハリウッドセレブからも疑問を投げかけられるようになった「炎と怒り」ですが、その評判に決定的なダメージを与える可能性がある出来事が起きました。

MSNBCの朝の情報番組「モーニング・ジョー」にゲスト出演したマイケル・ウルフの言動に、番組のミカ・ブレジンスキーの怒りが爆発、インタビューを途中で打ち切るというハプニングが起きたのです。(最下部のビデオ参照)

ミカ・ブレジンスキーは、ジョンソンおよびカーター政権下でホワイトハウス入りした政治学者の娘で、同番組のもう一人のホストであるジョー・スカーボロの妻でもあります。

Fortune The Most Powerful Women 2013

夫と共に徹底的なトランプ・ヘイターであるミカは、トランプに頭がおかしいと言われたり、整形手術をからかわれたことでも知られています。

敵の敵は味方ということだったのでしょう。ミカは「炎と怒り」とマイケル・ウルフについて、本の発売当初は大変好意的だったのですが、マイケル・ウルフのトークショーでの発言によって考えを変えることを余儀なくされたようです。

何の根拠もなく大統領と国連大使の不倫の噂を持ち出す

お伝えしたように、「炎と怒り」の中には、トランプが閣僚の1人と不倫関係にあることを示唆する記述があるのですが、ウルフは人気コメディアンのビル・マーがホストを務めるHBOのトークショーに出演した際に、それがニッキー・ヘイリー国連大使であると言明したのです。

ウルフの驚くべき発言は、上のCNNの番組でも取り上げている通り、すぐにヘイリー本人によって否定されますが、現職大統領と現職閣僚の不倫というセンセーショナルな話題は、一息ついていた感のある「炎と怒り」に対する人々の関心を再び呼び覚ますには充分なインパクトを持っていたと言えそうです。

ついにリベラルからも、総スカン状態か?

さて、この不倫発言の根拠をミカに問いただされたウルフですが、またしても意味不明なごまかしを繰り返し、とうとうミカを怒らせてしまったというわけです。

なお、ゲスト出演した番組から途中で追い出されるという屈辱を味わったウルフは、SNSを使ってミカに対する反撃を開始した模様です。

ただ、本件に関しては、おそらく圧倒的多数のリベラル派が、ミカの主張に賛同することになるでしょう。それはヘイリー国連大使のコメントを紹介したCNNのキャスターやパネラーの反応からも明らかです。

すなわち、自分の本を売りたいがために、根拠も示さないまま、向上心の強い野心的な女性政治家の将来を台無しにしようとしたウルフの行為は、フェミニズムに対する意識が高いリベラルにとって決して容認できないからです。

さらに、この日の番組では不在だったもう一人の番組ホスト、うるさ型の元共和党下院議員の夫ジョーもミカの支援に加わるはずです。

以上の要素からも、状況はマイケル・ウルフにとって決して楽観できないと思われます。もしかしたら、彼にとって本当の「炎と怒り」は、これから始まるのかもしれません。

まとめ

ワシントンポストやニューヨークタイムスなどのリベラル系新聞社もかねてから指摘している通り、「炎と怒り」は現職大統領に関するスキャンダラスな情報を扱っているにもかかわらず、通常なら行われて然るべき出版社によるファクト・チェックなしで出版されたという経緯があります。

トランプ憎しの世論を味方につけたとはいえ、現職大統領に対する根拠に欠ける憶測や事実誤認を多数含むフィクションの要素が高い暴露本の出版は、すでに分断されたアメリカ社会にさらなる痛手をもたらすことになるだけでなく、国益を損なう事態すら招きかねません。

著者であるマイケル・ウルフは、金目当てのイエロージャーナリズムでアメリカ社会を混乱させたとのそしりを免れないのではないでしょうか。

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